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【メンバー紹介】CEO/中村 貴樹 「クロスボーダーイノベーションの力で、日本のポテンシャルを解放する」

弊社のホームページをお訪ね頂き、ありがとうございます。
Cross Capital Co-Founder CEOの中村です。2022年より、Fund of Fundsを活用したオープンイノベーションインフラであるCross Capitalの立上げを行ってきました。ファンドとしての資金調達に加え、投資・ハンズオン事業開発支援・組織づくり等のコア業務を統括しております。

ここでは、Cross Capitalを初めて知って頂いた方向けに、簡単に私自身のバックグラウンドと、なぜCross Capitalを立ち上げたのかについてご紹介をさせて頂こうと思い、筆をとっております。

 

 


 

– プロフィール –

中村 貴樹 | Co-Founder CEO

 

2022年1月までシンガポール政府系ファンドTemasek傘下のVertex HoldingsにてExecutive Directorを務め、2022年2月にCross Capitalを創業。Vertexにおいては、海外スタートアップと日系企業との間の事業開発・オープンイノベーションを推進。150件超のビジネスマッチング、20件以上の契約・PoC等を実現に導いた経験を保有。また、Vertex Master FundのLPサポート、およびグローバルのファンドオブファンズ運用に従事。複数件のファンドオブファンズ投資・戦略連携をリード。Vertex参画以前は外資系戦略コンサルティングファーム アクセンチュアおよび総合商社 双日にて、海外事業開発やグローバルM&A/アライアンス等の実行支援に従事。10年超の海外事業開発・プロジェクトマネジメント・投資支援経験を保有。Cross Capitalでの活動の他、シンガポールにおいて日本と東南アジアを繋ぐイノベーションコミュニティJapan Southeast Asia Innovation Platform(JSIP) の立上げ・運営にも従事。日系企業による東南アジアエコシステムの活用を支援する各種プログラムの企画・実行や、コンテンツ作成に関与する。また、海外スタートアップの日本事業立上げ請負人として、複数社のアドバイザーを務める。JETRO、経団連、JCCI、TECHBLITZ等での執筆や講演/モデレーター、国内外のピッチイベント審査員経験多数。

 


 

 

私が社会人になったのはリーマンショック後、間もなくの頃です。昔から、事業経営に興味を持っていたのと、やたらと責任感が強い性格だったため、「社会の期待に応える事業を自分の手で生み出し、経営できる人間になりたい」という思いを持ち、就職活動に挑みました。ただ、当時「社会の期待」というのがどういうものか、想像が出来なかった私は、とにかくあらゆることに将来挑戦させてもらえそうなフィールドということで、父親と同じ総合商社を志望、色々と挫折を味わいながらも、なんとかその一社である双日株式会社に入社させてもらうことが出来ました。そこで、まずはファイナンスの基本を身に着けたいという考えから、財務系の部署に配属してもらい、クロスボーダーのインフラ輸出案件やM&A案件のファイナンス周り全般を担当しました。

 

 

当時担当していた米化学会社M&A案件の営業部と

 

 

一通り、財務モデルや投融資の数字について学んだ後、次は事業戦略を学びたいと考えていたため、社内異動やMBAも考えつつも、最終的に外資系コンサルに転職することを決意、ケース面接の準備に苦労しながらも、なんとかその世界に飛び込みました。入社したアクセンチュアでは、M&A案件ばかりを扱うチームに参画、4年ほどM&A戦略・DD・PMIの案件に食らいつきながら、経験を積んでいきました。現在住んでいるシンガポールに来ることになったのは、当時担当していた企業統合プロジェクトで、統合会社をシンガポールに登記することになったためです。

 

 

シンガポールにてプロジェクトメンバーと。中華街でドリアンに初挑戦し、トラウマに。

 

 

企業統合が無事に完了し、後続のDX関連プロジェクトを担当していたある時、LinkedInで突然連絡があり、シンガポールの政府系VCに出会いました。そのVCはVertex Holdingsという東南アジアでも老舗のVCの一つで、シンガポール政府系の投資ファンドTemasek Holdingsの傘下のVCプラットフォームでした。東南アジアだけでなく、北米、イスラエル、中国、インドを含め、世界中で投資を行っていました。日本企業と投資先スタートアップのオープンイノベーションをハンズオン支援する仕事をしないか、というのがお誘いの内容でした。当時、事業立上げの経験を得たいと思っていた私にとっては、スタートアップ経営者と近くで仕事ができるまたとない機会であったため、素晴らしい仲間に恵まれていた環境に後ろ髪を引かれながらもVCに飛び込むことを決め、入社しました。

 

そこでの仕事は想像以上にワクワクするもので、私はVCの世界に魅了されていきました。主な仕事は事業開発であったため、いわゆるキャピタリストとして投資案件を発掘する仕事は限られていましたが、毎日のように世界を変えようと頑張る優秀な起業家と会い、見たことの無い技術やビジネスモデルに出会える機会は本当に心踊るものでした。

 

 

社員総会先のカリフォルニアにてグローバルオフィスメンバーと。

 

しかし、それ以上にのめり込んだことが、日本企業のイノベーション支援でした。Vertexでは、投資先のスタートアップの成長に資するのであれば、どんな会社との協業を仕掛けてもOKであったため、私はとにかく自分の時間を使えるだけ使い、様々な業界の日本企業に会い、彼らの事業や困りごと、成長戦略などを教えてもらい、それにマッチする投資先スタートアップとの協業仮説を書きまくっては提案し続けました。当然、提案するだけでは中々前に進まないので、形になりそうなプロジェクトはPoCの設計や営業にも突っ込み、一通りのプロセスを経験しました。

 

そうしている中で気が付いたことが、業界を問わず、日系企業がよく似た課題を抱えているということでした。例えば、「オープンイノベーションを通じて解決したい課題がぼんやりとしている」「スタートアップと出会った後で、実行に落しこめない」「クロスボーダー人材が不足している」「既存事業を抱える事業部との間でカベがある」と言った課題です。また、マーケットに存在するソリューションが、これらの課題に包括的に応えるものになっておらず、実は需給がマッチしていない、ということにも気が付きました。

 

それに加え、当時はコロナの真っ最中です。国境を超えての移動が難しくなり、日系企業による海外スタートアップとのオープンイノベーション活動は一気にトーンダウンしたように見えました。一方で、欧米企業は逆で、Zoomでいつでもコンタクトできる環境を追い風に、クロスボーダーでの活動をむしろ加速させていきました。グローバルのVCによる投資活動もZoomのおかげで実はスピードアップしていましたが、日本のVCやCVCなどはスローダウンしているように見えました。

 

この状況を目の当たりにしたことが、私に強烈な危機感を抱かせ、突き動かされるままに独立を考えるようになりました。昔からムダに使命感が強い性格も災い(?)しているのだと思うのですが、「この状況を自分がなんとかしなければいけない」と思ってしまいました。長年探し求めていた「社会の期待」はこれだ、と。

 

そこから、起業の構想を具体的に練り始め、色々な大企業の方やVCの先輩に壁打ちをさせてもらい、(また別の回で詳しくご紹介したいと思いますが)今のFund of Fundsを活用したオープンイノベーションのインフラの計画を固めていきました。

 

 

世界のスタートアップへのアクセスと事業開発支援を両立させた日本企業特化型のオープンイノベーションインフラ

 

 

この自己紹介を書いている今日時点では、まだファーストクロージングも終えていないので、何一つ成し遂げられたことは無いのですが、本当にありがたいことに、志を共にする素晴らしい仲間が世界中から集まり、独立当時の想像を超える世界のトップVC達が戦略パートナーになりたいということで投資枠を提供してくれ、世界で初めてとなる仕組みを構築するところまで歩みを進めてくることが出来ました。

 

まだまだここからではありますが、日本企業に伴走するオープンイノベーションパートナーとなるために、全力を尽くしていきたいと思います。一つのスタートアップとして、自分自身がCross Capitalという新規事業に挑戦しながら、日系企業の新規事業に一緒に伴走していきます。

 

これから、Cross Capitalをどうぞよろしくお願い致します。

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